冬の澄んだ空気の中、和光市南一丁目を歩くと、住宅街の合間に広々とした畑が顔を出します。かつて武蔵野の面影を強く残していたこの場所に、今も地域の人々に愛される野菜の直売所があります。

シャキッと角が立つ、圧倒的な「鮮度」

店頭に並ぶのは、まさに今が旬の顔ぶれ。 大きな泥付きの大根、瑞々しい水菜にホウレンソウ、鮮やかなニンジン、そして土の香りがする里芋。

驚くのは、葉物野菜の力強さです。スーパーに並ぶ野菜はどうしても物流を経て1〜2日経ってしまいますが、ここの野菜は「背筋が伸びたように」葉先までピンと立ち上がっています。 「店頭の野菜がなくなったら、その都度、少しずつ畑から収穫している」というこだわりが、この圧倒的な鮮度を支えています。
移り変わる街並みと、変わらない人の営み

この界隈は、古くから住まわれている「冨澤さん」や「加藤さん」といった姓が多い地域。 お話を伺うと、かつては「このあたりには三軒しか家がなかった」といいます。広大な畑の中にぽつんと家が建っていた光景から、今では新興住宅街へと姿を変えました。
かつては交通の便も今ほど良くなく、和光市内でありながらバスで成増まで出るのが日常だったというエピソードからは、街が少しずつ便利に、そして賑やかになってきた歴史が感じられます。

都県境の「不思議」な立地

面白いのは、この直売所の前の道。実はここが埼玉県と東京都の境界線(都県境)になっています。 「道の真ん中からこっちが和光市、向こう側が練馬区。もし前の道で事故があったら、はねられた場所によって朝霞警察署(埼玉県)か石神井警察署(東京都)か担当が変わるんだよ」という冗談まじりの話に、境界線にある街ならではの暮らしのリアルが垣間見えます。
地元の味「新倉うどん」や「お味噌」も

野菜だけでなく、和光の名物である「新倉(にいくら)うどん」や地元の「お味噌」も販売されています。とれたての里芋をたっぷり入れたけんちん汁と、コシのある新倉うどん。そんな地産地消の食卓が、ここならすぐに実現できそうです。



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