ホンダ、上場以来初の純損失6900億円へ 北米EV開発中止で「脱ガソリン」戦略が正念場

和光

ホンダは2026年3月12日、2026年3月期の連結純損益予想を、従来の3000億円の黒字から、最大6900億円の赤字へと大幅に下方修正した。1957年の東京証券取引所上場以来、通期での赤字転落は初となる。北米で計画していた主要EV(電気自動車)3車種の開発中止に伴う減損損失などが響いた。三部敏宏社長は「断腸の思い」と述べ、経営責任を明確にするため役員報酬の一部返上を表明している。

HONDAのYOTUBEより引用。

■ 誤算の「EV一本足打法」:北米3車種の開発を断念]

HONDAのYOTUBEより引用。

今回の巨額赤字の主因は、北米市場向けに投入予定だった「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の3車種の開発・発売中止だ。

米国での環境規制緩和や補助金政策の見直しにより、想定していたEV市場の拡大が失速。ホンダはこの戦略転換に伴い、設備や開発投資の減損として、今期中に最大1兆1200億円の営業費用と、1500億円の投資損失を計上する。さらに、今後の撤退費用等を含めた累計損失は、最大2兆5000億円規模に達する見通しだ。

■ 中国事業の苦戦と「SDV」競争の激化

北米だけでなく、中国事業の不振も深刻だ。ソフトウェアによって車両の価値が決まる「SDV(ソフトウェア定義車)」領域で台頭する中国の新興EVメーカーに対し、ホンダは商品競争力で後手に回った。EV開発にリソースを集中させた結果、稼ぎ頭である内燃機関(ICE)車やハイブリッド車(HEV)の刷新が遅れ、四輪事業全体の収益性が悪化するという悪循環に陥っている。

■ 「ハイブリッド回帰」へ舵を切る再構築案]

三部社長は会見で、「外部環境の変化に柔軟に対応できなかった」と反省を口にしつつも、今後は強みを持つハイブリッド車を軸に据えた戦略へ再定義することを強調した。

  • 主要市場の再編: 日本、北米、そして成長が見込まれるインド市場において、次世代ハイブリッド車の投入を加速させる。
  • 固定費の削減: 事業規模に見合った体質改善を進め、まずは「止血」を優先する。
  • 中長期の展望: 2040年の「脱ガソリン」目標自体は掲げつつも、投資のタイミングは需要動向を見極めながら「長期的な視点」で柔軟に対応する。

■ 投資家の視点:信頼回復への道筋

ロゴマークを刷新し、「第二創業」を掲げた矢先のつまずきに対し、市場の評価は割れている。短期的には株価への打撃は避けられないが、一部では「過剰なEV投資リスクを早期に整理した」との見方もある。

トヨタ自動車に並ぶ高いハイブリッド技術を持つホンダが、この「止血」を経て再び収益力を取り戻せるのか。5月に予定されている中長期戦略の詳細発表が、同社の未来を占う大きな分水嶺となる。

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